道徳を探究する現代の学問分野群にとって、アリストテレスを始祖とする徳倫理学のもつ可能性が注目されて久しい。本研究課題では、アリストテレス的徳倫理学のもつ優れたアイデアの一つである「倫理的な反応が求められている状況において、道徳原則に頼ることなく適切な反応を可能とする〈道徳的な性格〉」に焦点をあて、(1)現代の倫理学研究における「道徳的な性格」という考え方のもつ哲学的な意義を検討し、そして(2)この考え方が狭義の哲学倫理学のみならず、道徳性を研究する今日の経験科学に対してもつ可能性を明らかにした。
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