研究課題
本研究は、レヴィナス哲学を「身体・意味・時間」という観点から総合的に検討することを目的として行われた。研究期間全体にわたって十分な研究を遂行することができ、その成果は、国際シンポジウムでの発表や国内学会での発表をはじめ、適宜公表することができた。とりわけ研究の総決算として、単著『レヴィナスの企て 『全体性と無限』と「人間」の多層性』を公刊できたことがもっとも特筆すべきものとして挙げられる。最終年度にあたる2020年度は、2019年度末にコロナ禍によって執行できなかったものを繰越し、本研究課題の総決算に充てられた。最終年度の研究成果としては、なかでも、研究課題の一つとして挙げていた、とりわけAI技術や遠隔技術社会における倫理学的考察という観点からは、論文「遠隔と接触:リモート時代におけるレヴィナスの「顔」」において、レヴィナスの思想が今日の遠隔技術社会の諸問題を考えるためにどのような視座を提供するのかを論じた。さらに、日仏哲学会シンポジウムでは「遠隔時代における身体:シャマユー/レヴィナスとともに」 と題し、『ドローンの哲学』の著者グレゴワール・シャマユーの思想とレヴィナスの現象学的思想の双方から「遠隔時代における身体」の問題を論じた。そのほか、ハンナ・アーレントにおける責任の問題、ギュンター・アンダースにおける人間性概念、マルティン・ハイデガーと現代技術の問題、ジョルジュ・バタイユにおける「理性」概念、初期ジャック・デリダ思想といった関連する哲学者・思想家の関連するテーマについても共著、シンポジウム、ワークショップ等で研究成果を公開したが、そのなかでも適宜、本研究課題の成果に基づき、レヴィナスの思想と関連についても指摘を行った。
すべて 2021 2020
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『現代思想』
巻: 49(1) ページ: 120-127
『福音と世界』
巻: 8 ページ: 12-17