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2017 年度 実施状況報告書

社会保障の規範理論―十分性説の妥当性についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K13322
研究機関明治学院大学

研究代表者

保田 幸子  明治学院大学, 社会学部, 研究員 (60774776)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード平等主義 / 分配的正義
研究実績の概要

本研究は、経済的格差が拡大傾向にあり、人々の貧困状態が問題視されているという今日的状況を踏まえて、皆の福利が一定水準を上回ることが道徳的に重要であるとする十分性説を包括的に検討して、その妥当性を明らかにすることである。この目的を達成するために、2017年度は予定通り多元主義と民主的平等論の二つ検討をおこなった。
民主的平等論はしばしば十分性説と目されるが、福利の公正な分配を求める分配適正議論と異なり、社会関係における平等の達成を目指している。また、運の平等主義は民主的平等論や十分性説に対する主要な批判の一つであるが、多元的運の平等主義の一部は十分性原理の併用を主張している。したがって、これらの総合的検討を2017年度はおこなった。
第一に、多元主義に関しては、十分性原理を取り入れた理論、特に多元的運の平等主義の文献を収集し、レビューをした。多元的運の平等主義は批判を踏まえたより頑健な運の平等主義として生まれた。その際、併用される原理として十分性原理や連帯原理がある。このうち、連帯原理には難点があると明らかにした。
第二に、民主的平等論に関しては、各人に民主的な社会へ参加可能な能力を確保するために各人の福利を一定水準以上保障することを求めている。しかし、当該社会の状況は各人への保障の道徳的根拠とはなりえないと考える。また、民主的社会への貢献という観点から参加能力の保障が重要だとする場合、各人への福利の分配と功績とが道徳的にいかなる関係にあるのかを明らかにする必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、2017年度は多元主義と民主的平等論に関する文献を収集して、十分性原理に関する検討をおこなった。そのうち、多元的運の平等主義に関する研究の一部は論文として発表した。また、民主的平等論に関しては来年度以降の研究において重要な手掛かりを得た。したがって、おおむね順調であるといえる。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画通り2018年度は十分性原理を取り入れた理論も含めた包括的な十分性説の検討をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

2018年度に予定している英語論文の校正費用が当初の見積もりより高額であったためである。次年度使用額を当初の予定金額と合算して校正費用にあてるつもりである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 過酷さへの異議をめぐって―連帯原理の予備的考察―2018

    • 著者名/発表者名
      保田幸子
    • 雑誌名

      研究所年報

      巻: 48 ページ: 117-124

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公開日: 2018-12-17  

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