研究課題/領域番号 |
17K13331
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
竹元 規人 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80452704)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 『尚書』 / 経学 / 崔述 / 段玉裁 / 考証学 / 中国近代学術 |
研究実績の概要 |
本研究課題の開始となる今年度においては,崔述(1740-1816)と,ほぼ生没年が重なる段玉裁(1735-1815)の,『尚書』の扱い方の比較に取り組んだ。崔述の『考信録』における『尚書』の引用,崔以前に積み重ねられた通行本尚書への懐疑を明晰に論じた『古文尚書辨偽』を主な対象とし,崔述の議論の進め方,判断の根拠,依拠した文献等について分析を進めた。段玉裁については,先行研究を参照しつつ『古文尚書撰異』の所論を主に検討し,それが崔述の議論とまったく交わらないことの意味と,方法面での共通性を考察した。 崔述と段玉裁の両者はまったく同時代人でありながら,接点は全くなかったと考えられる。崔の学問の方法については,段に代表される清朝考証学の主流との共通点を指摘する見解と,相違を指摘する見解と両方見られるが,以上の検討に基づいて,その異同に関してより詳細かつ具体的な見通しを得ることができた。中国近代学術においては,崔述と段玉裁はともに重視されたが,それぞれに言及する際の文脈の異同に関して,今年度の研究によって得られた崔・段の学術の異同に関する認識に基づいて,新しい分析視角を得ることができたと思われる。 以上の研究は,尚書学研究を構成するものであるとともに,清代から近代への学術展開過程を,清代と近代の双方を照合する形で跡付け分析するという,本研究の目的に合致したものでもある。 今年度は初年度であることから,四年間の研究の進展を見据えて,清代学術に関する全般的な資料状況の把握と調査も進めた。 研究の成果はなお発表に至っていないが,取りまとめを継続し,学会等における発表や論文投稿を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時に定めた研究計画に従って,研究を進行したため,「おおむね順調に進展している」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,交付申請時の計画に則って研究を進めるとともに,成果発表に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
パソコンの買い換え費用として予算を計上していたが,現在使用しているパソコンは購入後7年および6年を経過するものの,OSを最新にし部品交換を行うなどしてなお使用可能であることから,今年度においてはなお買い換えを実行しなかった。 学会等での成果発表をまだ行っていないため,そのための旅費を次年度以降に使用することとした。 主に以上の2点の理由により次年度使用額が生じており,それら目的のために次年度以降使用する計画である。
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