我が国は古代から中世までの木造彫刻を数多く有するが、その制作の実際については未解明な技法がまだ多い。これを解明する糸口として、本研究では鎌倉時代に作られた楽法寺金剛力士立像のうち吽形像を対象に、50%縮尺で模刻制作を行った。その結果、本像は丸太に近い状態のヒノキから内部を空洞にした後、金剛力士像の形を彫り出したことがあきらかとなった。 従来の研究では、形を彫り出してから木彫像の内部を空洞にすると思われていたが、彫刻の設計図である図面を活用することでこれらのことが可能であることが示された。この知見は、造像技法の再現制作研究からの一検証例として、日本彫刻史研究の分野へ提示できたものと思われる。
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