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2020 年度 実施状況報告書

近代ベルギーの国家形成と音楽:音楽理論家の理論・思想・公教育再組織活動の観点から

研究課題

研究課題/領域番号 17K13352
研究機関広島文化学園大学

研究代表者

大迫 知佳子  広島文化学園大学, 学芸学部, 准教授 (40624218)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード音楽史 / ベルギー / 北方性 / 近代国家
研究実績の概要

2020年度は、新型コロナウィルスの影響のため、海外渡航(調査・面談等)をふまえて研究を大きく展開させることが困難な状況にあった。したがって、昨年度の「今後の研究の推進方策」に示した事柄のうち、「在白の研究者への協力要請のもと、ICT等を活用した資料調査や面談を行う」という点を中心として進め、これまでの解明点を補足するにとどまった。補足解明点については、昨年度の「研究実績の概要」に「査読中」と記した論文の修正過程において加筆し、学術雑誌掲載(オープンアクセス)に至った。
また、本課題に関連するアウトリーチ活動を、オンラインレクチャー等の形で計3回行った。これによって、特に、ブリュッセル王立音楽院初代院長F. -J. フェティスの音楽理論・思想・活動に関するこれまでの研究成果を、近代ベルギー音楽文化の一側面として広く発信することができた。
2020年度までの研究で明らかになったことをもとに、最終年度の考察は、研究対象時期を次の3期に仮区分して行うこととする。つまり、①独立直後:ブリュッセル王立音楽院初代院長フェティスの国家主義的なナショナリズムに拠る全国統一的な音楽(専門)公教育再組織期、②19世紀中期以降:フェティスの思想等を継承する首都圏と、ゲルマン民族主義的なナショナリズムに拠る蘭語圏それぞれにおける独自音楽公教育構築期、③19世紀後期以降:両語圏における音楽公教育の再統一模索期、の3期である。これらそれぞれの時期について、その時期区分の妥当性も含めて検討し、諸王立音楽院院長達の音楽理論・思想・活動が国民の文化的統合に果たした役割を考察したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルスの影響により、2020年度に行う予定であった海外渡航を再度延期した。この再延期に伴い、複数国での最終資料調査、ベルギーにおける研究協力者達との最終面談、最終調査・面談を受けての最終考察、および成果報告書等の発行(オープンアクセス)の大部分が未遂行となっている。
以上のことから、本研究はやや遅れている。

今後の研究の推進方策

海外渡航(調査・面談等)に関して、新型コロナウィルス感染拡大予防を巡る各国の方針等を見極め渡航の可能性を探りながら、引き続き在白の研究協力者への協力要請のもと、ICTの活用等を試みることで、着実な研究遂行に努める。
これまでの研究と、以上の方策によって、ベルギーの諸王立音楽院院長達の音楽理論・思想・活動が国民の文化的統合に果たした役割を考察することを通して、近代ベルギーの国家形成に音楽が果たした役割を解明し、研究をまとめたい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、主として、海外渡航(調査・面談等)の再延期が必要になったことである。渡航再延期の理由は、深刻化した新型コロナウィルスの影響による、海外渡航困難である。繰り越した研究費は、当初の申請費目の通り、延期した海外渡航(調査・面談等。既述した調査・面談等に関する方策に関わる事柄も含む)と渡航後の成果発表のために使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 世紀転換期ベルギー北方の音楽家F.-A.ヘファールトのヴァーグナー受容におけるコスモポリタニズム的傾向2020

    • 著者名/発表者名
      大迫知佳子
    • 雑誌名

      藝術研究

      巻: 33 ページ: 35-45

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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