本研究の目的は、近代ベルギーにおける国家形成に音楽が果たした役割を明らかにすることであった。そのため、「ブリュッセルおよびアントウェルペン王立音楽院の院長(音楽理論家)たちが、どのような音楽理論・思想に基づいて、どのように音楽専門公教育を再組織したか」ということに焦点を当てて、分析・考察を行った。結果として、フランドル楽派・フランデレンの歴史という共通の遺産をもとに、院長たちが様々な考え方(例えば民族主義的な考え方等)を拠り所として、国の方針と関連し合いながら、音楽専門公教育の再組織という面で国家形成を助けた過程を解明することができた。
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