研究課題/領域番号 |
17K13356
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研究機関 | 尾道市立大学 |
研究代表者 |
西嶋 亜美 尾道市立大学, 芸術文化学部, 准教授 (50713781)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フランス近代美術 / ドラクロワ / 美術批評 / 西洋美術史 |
研究実績の概要 |
本研究は、19世紀フランスの画家ウジェーヌ・ドラクロワの作品中、同じテーマや同構図を繰り返し制作する「反復」の全容と意義を、制作過程と受容の両面から解き明かすことを目指すものである。 2019年度は事例研究として、ドラクロワの宗教画における「反復」の研究を進めるとともに、批評等の一次資料を収集する予定で、すでに関連する資料収集等の作業を開始していた。しかし、前期の途中で入院し、その後安静療養となり、夏に予定していたフランスでの一次資料調査をはじめ、国内での長距離の移動を伴う調査や学会等への出席をすべて中止せざるを得なくなった。その後は、体調の許す範囲で文献調査等を続け、10月より産休に入るとともに本研究の遂行を正式に中断することとした。2020年度は育児休業のため引き続き中断とし、2021年4月より再開の見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
10月半ばより産休・育休を取得し、研究を年度途中で中断することとなった。また、それに先立って6月半ばに体調のトラブルのため入院と自宅療養を余儀なくされたため、予定していた海外調査をはじめ移動を伴う調査や学会出席などがかなわなくなった。入手可能な文献調査などを行うにも体調の制限が大きく、結果として研究進捗状況には遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は現在中断しており、2021年度に再開予定である。 その際には、事例研究における宗教画の「反復」の調査を続行し、成果を発表することから着手する。あわせて、理論研究においては、受容の調査のための批評文収集を対象を拡げつつ続行する。 批評資料の収集に加え、素描やパステル、水彩等の資料を比較対象として参照するために、海外調査も行う予定ではあるが、子の養育のため以前よりも長期の調査は難しくなることが予想されるうえ、新型コロナウイルスをめぐる海外渡航の状況も不透明である。そのため、今まで以上にインターネット上の各種コミュニケーションツールや電子化された資料・文献複写サービス等をうまく利用することとする。さらに、必要に応じて、作品の実見が不可欠な事例研究から、比較的遠隔でも調査の行いやすい理論研究のほうに比重をずらすことも考慮する。美術史において作品資料を直に観察し、それについて語ることの重要性は揺らがないものの、本研究課題である「反復」に関しては、別のアプローチからの解明についても試行錯誤の余地があり、それにより美術史研究に寄与することができると考えるものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の項で記したように、産休・育休の取得に伴って研究を中断したこと、および、それに先立ち安静療養を余儀なくされたことで、研究費の執行がほぼ不可能であったため、次年度使用額が生じている。具体的には、国内外の調査は中止し、自宅療養中は文献収集も出来ずにいた。なお、未使用分は、2021年度に研究再開後、国内外での調査や資料収集の費用、また、計画の遅れを取り戻すための資料整理アルバイト謝金として使用する予定である。
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