研究課題/領域番号 |
17K13360
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
植松 瑞希 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (70610335)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国絵画 / 蘇州 / 明 / 清 / 旅行 |
研究実績の概要 |
本研究は、16・17世紀の中国江南における旅行絵画の作例である、陸治筆「白岳紀遊図冊」(藤井斉成会有鄰館蔵)、文伯仁筆「四万山水図」(東京国立博物館蔵)、張宏筆「越中真景図冊」(大和文華館蔵)について、①画家・作品様式の美術史的位置付け、②描かれた実際の景観に対する文学的イメージとの比較、③旅行先の実際の景観との比較を行なうものである。 新型コロナ感染拡大のため、令和3年度も予定していた海外作品調査・名勝実地踏査を行なうことができなかった。 このため、「白岳紀遊図冊」については、所属する東京国立博物館の所蔵する関連作品を精査し、このうち、共通する名勝図像の型を用いた、文嘉・銭穀・侯懋功筆「洞天福地図巻」について、①~②の観点をふまえた次の考察を発表した。「洞天福地への旅―明代蘇州における旅行絵画の一側面」板倉聖哲・塚本麿充編『コレクションとアーカイヴ―東アジア美術研究の可能性』令和3年度12月、368~399頁。 また、「四万山水図」については、自題・款印や本紙の状態を精査し、①~②の観点と関連した、画風・主題・制作年代と背景についての論考をまとめた。まとめる上では、王寵「五憶歌」との関係を重視し、「四万山水図」を旅の目的地でもある名勝が絵画化された絵画として扱った。 このほか、16・17世紀の旅行絵画において、文学イメージ/実際の景観との関係が交錯する様相を概観する口頭発表(「明・清時代旅行文化における実体験と絵画の関係」)を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染拡大にともない、予定していた海外出張をともなう作品調査・実地踏査を行なうことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度実施予定であった作業を次年度以降に振り分け、作品調査と実地踏査を行なう。ただし、新型コロナ感染拡大状況をかんがみ、海外調査が困難な場合は、研究計画を変更し、関連作品の研究を進め、これらについての成果発表を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大により、令和3年度に予定していた海外出張を行なうことができなかったため、次年度使用額が生じた。この作業を令和4年度に行なうことで当該助成金を使用する予定である。
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