研究課題/領域番号 |
17K13369
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
園部 友里恵 三重大学, 教育学部, 特任講師(教育担当) (80755934)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インプロ / 高齢者 / ファシリテーター / 演劇 / アクションリサーチ / ワークショップ / パフォーマンス |
研究実績の概要 |
①柏市でのアクションリサーチ:2019年6月までの期間、高齢者インプロ劇団「くるる即興劇団」におけるインプロワークショップを毎月2回、一般公開パフォーマンスを2日間にわたり開催した。高齢劇団員のファシリテーション技術の向上を目指したプログラムを実験的に導入し、その反応を観察調査およびインタビュー調査によってデータとして収集した。なお、2019年8月以降、研究代表者の産休・育休に伴い、本研究は中断・延長申請をとった。毎月2回継続していたインプロワークショップについて、中断期間中(2019年8月~2020年3月)の実施可否を高齢劇団員に尋ねたところ、「自主ワークショップ」という形での継続の希望があったため、活動自体は継続された。また、研究代表者が不在の実践時にも、可能な範囲で高齢劇団員に記録を作成していただいている。 ②高齢者ファシリテーターの熟達プロセスの解明と支援モデルの構築に向けたデータ分析:これまでの調査研究によって得られたデータを整理し、高齢劇団員が「ファシリテーター」になっていくプロセス、および高齢者のファシリテーション技術向上のために求められる支援のあり方について考察を進めた。 ③成果の報告:2020年度刊行予定の『シリーズ超高齢社会のデザイン』(東京大学出版会)において、本研究に関する論考を執筆した。また、本研究の成果を研究者でない人々に幅広く伝えるため、書籍(一般書)の刊行に向けた準備を進めた。加えて、より実践に直結した形で成果を発信するため、一般参加者にも開かれた「柏くるる即興劇まつり」を2019年6月に2日間にわたり開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、演劇未経験者でも参加可能でセリフの暗記等が不要な演劇活動である「インプロ」(即興演劇)に着目し、高齢者インプロ実践を行うにあたり、高齢者自身が主体的にファシリテーション技術を高めていくためのプロセスモデルを構築するものである。 本来、2019年度は本研究の最終年度にあたるため、研究成果のとりまとめと成果の公開を主に進めていくことを予定していたが、研究代表者が2019年8月から2020年3月まで産休・育休を取得することになり、本研究を中断せざるを得なくなった。 しかし、柏市でのアクションリサーチへの参加者(「くるる即興劇団」の高齢劇団員)のご協力により、実践自体は中断することなく継続され、記録も蓄積されてきた。本研究のテーマが、「高齢者自身が主体的にファシリテーション技術を高めていく」ことであるという点からみても、この中断期間に自主的に行われたこと、すなわち高齢劇団員自身が研究代表者(これまでアクションリサーチにおけるインプロワークショップのファシリテーターを主に担ってきた)不在のなかでインプロワークショップを主体的に進めていく際に起こった出来事やそこから生まれた意識は、次年度(2020年度)に分析するに値すると言える。 また、産休に入る前(2019年6月)、当初夏季に開催することを予定していたパフォーマンス実践(本研究の中間報告にあたるもの)を2日間にわたり開催することもできた。 以上より、本研究は、産休・育休により中断せざるを得なくなったにもかかわらず、遅れは生じておらず、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、延長申請により、最終年度となる。産休・育休により中断していた2019年8月~2020年3月に本来すべきであったこと、そして、中断期間中に実践参加者の協力により研究代表者不在のなか進められてきた実践の詳細を分析することを進めていきたいと考えている。具体的には、主に、①柏市でのアクションリサーチの継続、②高齢者ファシリテーターの熟達プロセスの解明と支援モデルの構築に向けたデータ分析、③成果の報告、の3点に取り組む予定である。 ①柏市でのアクションリサーチ:2020年度も毎月2回のワークショップと年2回のパフォーマンスを開催するとともに、観察調査、インタビュー調査を通してデータを蓄積する。また、研究代表者不在時に実践参加者が蓄積した記録の分析や、この期間に行われたことをめぐる実践参加者へのインタビュー調査を進める。ただし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、特に今年度前半、柏市における対面での実践の遂行が難しいため、電話やメール等を利用しインタビュー調査を実施したいと考えている。 ②高齢者ファシリテーターの熟達プロセスの解明と支援モデルの構築に向けたデータ分析:これまでの調査研究によって得られたデータを整理し、高齢劇団員が「ファシリテーター」になっていくプロセスを解明するとともに、高齢者のファシリテーション技術向上のために求められる支援のあり方について考察する。 ③成果の報告:国内学会を中心に本研究の成果を積極的に発表していくほか、学会誌への論文投稿を行っていきたいと考えている。また、本研究の成果を研究者でない人々に幅広く伝えるため、書籍(一般書)の刊行に向けて準備を進めている。加えて、より実践に直結した形で成果を発信するため、一般参加者にも開かれたパフォーマンス実践を冬季に開催することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年8月から2020年3月まで、妊娠・出産に伴い産休・育休を取得したため、研究を中断・延長せざるを得なかった。そのため、本年度実施する予定だった「柏市におけるアクションリサーチ」を次年度改めて継続的に実施し、本研究に必要なデータを充分に取得した上で、最終成果の報告に向けた分析・考察・モデル構築を行いたい。 したがって、アクションリサーチのための旅費・人件費、分析のための先行研究整理のための文献購入に使用するほか、成果報告のための学会発表の旅費として、使用する予定である。
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