研究実績の概要 |
平成30年度の研究としては、昨年度購入したイタリア語における文献の翻訳と内容の確認を継続するとともに、5月には渡伊し、ボローニャを拠点に、ボローニャ歌劇場のリハーサルにも立ち合い、出演歌手(演目はVerdi作曲『ドン・カルロ』)や現地在住の国際的に活躍するオペラ歌手陣と歌唱旋律の扱い方や、読譜法と演奏様式の関連について討論を重ねた。また、ボローニャ音楽院で音楽史を指導している著名な音楽学者ピエロ・ミオーリ氏からも直接対談し、意見やアドバイスをもらう機会を得ることが出来た。ミオーリ氏の著書数冊の他、Alfredo colombani著『19世紀のイタリアオペラ(1900年著)』やAlessandoro Rocatagliati著『台本作家Felicce Romani』など、これまで探し求めていた書籍を購入することもできた。また、イタリア国立ボローニャ音楽博物館では、研究対象でありながら関係書物の少ないボローニャ派の作曲家Vincenzo Righiniの直筆譜のコピーやその他作曲家の直筆譜、手紙などを研究ということで特別に3日間に渡り見せてもらった。研究内容の裏付けとしての実演・演奏活動しては、Verdhi作曲『リゴレット』やMozart作曲『フィガロの結婚』といった研究対象のオペラにも出演しつつ、イタリアオペラ作品の歴史を追ったプログラムによるリサイタルも名古屋と富山で開催した。リサイタルの内容としては、先述したRighini作曲のオペラアリアなど、おそらく日本初演であろう作品も取り上げながら、国際的に活躍するイタリア人バリトン歌手Mattia Olivieri氏の協力を得て、Rossini,Donizetti,Bellini,Verdi,のオペラ作品における二重唱を取り上げた。
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