研究課題/領域番号 |
17K13380
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
栗山 新也 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 外来研究員 (40782066)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 民族音楽学 / 楽器学 / 文化人類学 / 物質文化研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、沖縄や沖縄の移民・出稼ぎ地で継承されてきた三線が、人びとに対してどのような効果を与えてきたのか明らかにすることを目的とする。具体的には、三線がどのような社会関係を媒介してきたのか、またどのような価値や感情を引き出してきたのか明らかにする。 当該年度は、関東、関西、東海地区の三線の所有者や三線店などに対して聞き取り調査を進め、三線製作によって媒介されるネットワークや三線が人から人へと継承される過程でどのような価値や感情が付与されるかについて明らかにした。 三線所有者への聞き取りについては、それぞれの芸能活動の歴史について明らかにしながら、三線にどのような人間関係が積み重なっているか、また所有者が三線に対してどのような価値や感情を付与してきたのか、その推移を明らかにすることができた。 三線店での聞き取りは、三線の所有者についての情報や各地域での沖縄芸能関係の団体や芸能活動を行う個人について貴重な情報を得ることができた。また三線製作において形成される独自の人間関係やネットワークについても明らかにすることができた。 また沖縄で発行されている三線関係の新聞記事の収集をすすめ、三線の由緒・来歴などについての情報を収集した。 大阪での調査の成果は、七月社より2020年4月に発刊された共著本、久万田 晋・三島 わかな編『沖縄芸能のダイナミズム──創造・表象・越境』に論文「三線に積み重なる価値と人間関係―大阪の事例から」として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関西や関東、東海などの地域のの三線店や三線奏者を通じて三線の所有者の情報を収集し、インフォーマントから具体的な聞き取りを行うことができている。2020年4月には、久万田 晋・三島 わかな編『沖縄芸能のダイナミズム──創造・表象・越境』(七月社)を刊行した。一方長期的な調査の機会を作ることができておらず、海外での現地調査を行うことができていない。また新型コロナウイルスの感染拡大により2020年2月以降国内での現地調査も進められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新型コロナウイルス感染拡大の影響からインフォーマントに直接接触する調査は難航すると推測される。これを踏まえ以下の作業を進めていきたい。
(1)関東や関西、東海などの地域の三線の所有者の聞き取りを分析する。(2)三線に関する記述が残る書籍や新聞記事を収集・分析する。(3)三線職人からの聞き取りを分析する。(4)他の楽器と比較しながら、三線の楽器として特徴、あるいはモノとしての特徴を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
長期的な休暇が取得できず現地調査が思うようにできなかったため。
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