研究課題/領域番号 |
17K13381
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
河内 聡子 東北大学, 文学研究科, 助教 (20771778)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文学一般 / メディア / 雑誌 / 地域社会 / リテラシー |
研究実績の概要 |
本年度は、課題である「近代日本の地域社会における雑誌メディアの普及と受容に関する研究」について、前年度の成果を踏まえて、引き続き関係資料の調査・整理と、目録化・データベース化に向けた入力作業を中心に行った。 まず、調査・研究を進めていく上で不可欠な関係図書および文献などを購入し、研究の体制と環境のための便宜を図った。また、関係資料の探索および収集・閲覧を目的として各機関に調査を行い、その成果の一部について目録データの打ち込みを行った。 研究状況としては、国立国会図書館において近代雑誌の刊行状況について、網羅的な把握を目的とした調査を行った。また、関係資料を所蔵する機関として如来寺(福島県いわき市)を訪問し、明治期の仏教系雑誌に関する調査を行った。更に、八千代市市立図書館(千葉県八千代市)において「女性の日記から学ぶ会」寄託の資料と、「日記の館」(長野県筑北村坂北)に所蔵の資料を閲覧し、近代日本の地域社会における雑誌付録の家計簿について調査した。 その成果の一端として、①「日記の館」開館記念式(平成30年8月16日)において「地域社会における書くこと・読むこと(リテラシー)の歴史を考える」、②シンポジウム「日記から読み解く高度成長:人びとの意識と行動」(平成30年10月20日)において「家計簿から見る高度経済成長―「山田義一・ヨメ子家計簿」の検討を中心に―」、③工業系支援機関ネットワーク研修会in東北(平成30年11月1日)において「〈中央〉の論理を越えて〈地方〉を眼差すことの可能性」、④人間文化研究所共同プロジェクト「日本人と日記」研究会(平成31年2月16日)において「近代日本の農村社会における「家計簿」の普及と展開―史料としての可能性を視野に―」を、それぞれ口頭にて発表し、広く社会に研究の内容を発信して知識の共有を図るとともに、意見交換の機会を得て新たな知見を獲得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題に取り組むための環境整備が、当初の計画に即して達成されているため。また、データベースの構築に向けて、前年の成果に加えて更なる資料とデータの蓄積が進んでいるため。さらに、調査による資料や情報の収集に基づいた成果報告がなされているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は「調査・研究の完了と、成果の発信および公開」を目標として、下記の通り推進計画を立てる。 1)「各機関所蔵資料の調査・整理の完了」各機関が所蔵する雑誌および関係資料の目録・データベースを完成させるため、補完的な調査・整理を行う。 2)「各機関所蔵資料のアーカイブ化の検討と整備」各機関が所蔵する雑誌および関係資料について、所蔵者および研究協力者と協議しながら管理・保存(アーカイブ化)の検討を行い、その実現に向けた整備を行う。その際、現物保全の体制の構築とともに、デジタル画像化が必要となる資料についてはデジタルカメラおよびスキャナで撮影し保存する。 3)「資料および目録・データベースに基づいた研究成果の発信」資料調査・整理の成果に基づいた、地域社会 における雑誌の普及や受容に関する具体的な検証結果として、学会等での口頭発表、学会誌への投稿を通して、研究者へと発信し、社会へ還元する。 4)「目録・データベースの公開」目録及びデータベースを、学術誌やホームページなどを通して公開し、研究成果の一部を一般的に共有可能な知的財産として閲覧できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は謝金が発生する作業を実施しなかったため、予定より支出が少なくなった。 次年度はデータベースの構築に向けた複数員での作業を想定しているため、その経費として繰り越し分を使用する見込みである。
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