研究課題/領域番号 |
17K13383
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田 春娟 新潟大学, 現代社会文化研究科, 研究員 (60743630)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 明治漢詩 / 阪口五峰 / 尾崎行雄 / 吉田東伍 / 咢堂詩存 / 松雲詩草 / 贈答詩 |
研究実績の概要 |
本研究は、明治漢詩人阪口五峰の漢詩文集『五峰遺稿』から知られる五峰を中心とする人物関係に着目し、彼らに関連する資料の悉皆調査を目指している。本年度の研究成果の主要なものは、以下の通りである。 (一)阪口五峰と尾崎行雄に関する「贈答詩」の調査:1、国立国会図書館での資料調査2、神奈川県相模原市にある尾崎咢堂記念館、三重県伊勢市にある尾崎咢堂記念館で訪問調査を実施した。3、相模原市立博物館で寄贈された資料文献900点を調査した。4、「尾崎行雄を全国に発信する会」の方々にインタビューをし、同会及び相模原市立博物館に資料・文献に関する情報提供を求めており、継続して調査中である。 (二)阪口五峰と吉田東伍に関する「贈答詩」の調査:1、新潟県立図書館での資料調査2、吉田東伍記念博物館、及び吉田文庫で資料調査を実施した。しかし、該当する文献が見つかっていないが、阪口五峰と吉田東伍との書簡(3通)や年賀状(2枚)などの資料文献の撮影ができた。特に年賀状の2枚の中の1枚にて、阪口五峰の漢詩2首(七言絶句)が新たに判明した(『五峰遺稿』に未収録)。3、吉田東伍『松雲詩草』の目次を整理し、『新潟県文人研究』第20号に論文を寄稿した。4、吉田東伍が阪口五峰に添削を依頼した漢詩集原稿という先行文献があり、継続して調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一、当初計画段階では、把握していなかった所蔵機関(相模原市立博物館と吉田文庫)と新しい阪口五峰の漢詩2首の確認ができた。 二、阪口五峰と尾崎行雄に関する「贈答詩」の調査が未完だが、二人の漢詩による交流を確認することができたし、阪口五峰は『咢堂詩存』(一部分)の評者になっていることを確認できた。 三、阪口五峰と吉田東伍との交流は、書簡や年賀状にとどまらず、吉田東伍から阪口五峰に漢詩集の添削を依頼したことが新たに分かってきた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、明治漢詩人阪口五峰の漢詩文集『五峰遺稿』から知られる五峰を中心とする人物関係に着目し、彼らに関連する資料の悉皆調査を目指している。本年度、新たな所蔵機関や文献資料を得ることができ、これにより、(一)阪口五峰と尾崎行雄に関する「贈答詩」、(二)阪口五峰と吉田東伍に関する「贈答詩」の未完調査は継続し、更に(三)阪口五峰と小野湖山に関する「贈答詩」、(四)阪口五峰と鱸松塘に関する「贈答詩」の調査も進めていきたいと考えている。今後の研究については、以上の4点を中心に行う。研究の進捗状況から順次、論文や口頭発表のかたちで成果を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:本年度の計画を効率よく実施し、本来二泊三日の調査旅行を一泊二日にしたためである。 使用計画: 本年度、当初計画段階では、把握していなかった所蔵機関のことが分かってきたため、新たな所蔵機関や文献資料を得ることができ、これにより、次年度に下記のような調査旅行:(一)相模原市立博物館の継続調査:阪口五峰と尾崎行雄に関する「贈答詩」、(二)吉田文庫の継続調査:阪口五峰と吉田東伍に関する「贈答詩」の調査も進めていきたいと考えている。
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