2020年度は本研究の最終年度であったため、これまでの研究で蓄積した資料や実績を基礎とした研究成果の公表を計画していた。しかし、研究代表者の異動による研究環境の変化と、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、十分な成果をあげることができなかった。研究期間内に計画していた成果を十分にあげることができなかったため、事態の改善を待って研究成果の公表を行いたいと考えている。 上記のような状況であったため、調査・研究を十分に行うことができなかったが、関係資料を収集して整理・検証する基礎研究、および研究成果の公表を行った。基礎研究として、前年度までの方針を継承した心学・通俗仏書の収集・整理、および関連文献の検証を行った。また、研究成果の公表として、以下の研究会での発表と、著書・論文を刊行した。 研究会:怪談文芸研究会(2020年7月・9月・2021年2月、zoomによる遠隔発表)。近世怪談に関する口頭発表を計3回行った。 著書・論文:1)「狐で騙る話」(『朱』(伏見稲荷大社)、64号、2021年3月、pp.202-216、査読無し)。近世初期から明治期にかけての狐を利用した詐欺譚を多角的に論じた。 2)『安政コロリ流行記』(白澤社、2021年、全6名による共著、総pp.176、担当PP.21-116(注釈は除く))。幕末に流行した感染症(コロリ)について記されている『安政箇労痢流行記』(仮名垣魯文、1858年刊)の翻刻・現代語訳を行った。
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