本研究の目的は、以下の3点である。①榊原本の詳細な書誌解題。②学習院大学所蔵の「藤袴」巻(榊原本の僚帖)の書誌情報から見直すことによる、榊原本が17帖になった時期の特定。③各帖における、書写者の人数把握と書写者の推定。 ②については、題簽の筆跡が伝承筆者である中院通茂のもの(京都大学附属図書館所蔵の中院通茂の和歌集)と一致した。また、これをさらに裏付ける記述がないかを『中院通茂日記』より探し出す作業を数年かけて行なった。当該資料は活字化されておらず、その分量も膨大なものであることから、見落としの可能性が多分にあるため、通しで三回確認を行なったが、日記には題簽を書いたという記述は見当たらなかった。これらのことを基にして、論文の執筆を行ない、年度末に投稿した。 ③については、作業はかなり進んでいるものの、情報公開のための手直しが必要であるものがある。見直しが終わったものから順次サイト(https://sites.google.com/view/nagakomuto/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E7%AB%B6%E4%BA%89%E7%9A%84%E8%B3%87%E9%87%91?authuser=0)にアップしていく。
|