谷崎潤一郎の半世紀にもわたる創作活動の特質は、日本が近代化してゆくなかで経験した様々な同時代現象(文化・社会・政治、検閲制度などの権力機構)を詳細に描き出した点にある。近年、新全集刊行やメディアでの特集、回顧展や国際会議の開催など国内外の関心が集まるなど再評価の機運が高まるいま、谷崎の残した草稿類(自筆原稿・書簡など)を調査と発掘に基づいて作品の生成過程や創作のメカニズムを探る本研究は、谷崎潤一郎の芸術表現が持つ社会的意義を明らかにするとともに、現在私たちがの直面している諸問題を考察・解決することに寄与するであろう。
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