研究実績の概要 |
昨年度の学会での研究発表を経た上で、今年度は発表をもとにした研究論文の執筆にあたった。カリブ海地域の文学者の影響のもとで執筆を行ったアフリカ系アメリカ人作家という研究テーマのもと、エメ・セザールの戯曲などに代表される『テンペスト』の翻案を、いかにアメリカ合衆国のアフリカ系アメリカ人作家であるジョン・エドガー・ワイドマンがその創作において換骨奪胎したかについて論じた研究発表は、「『フィラデルフィア・ファイア』における米国黒人男性版『あらし』と父子の沈黙」というタイトルで、2020年10月に松籟社より出版予定の論文集に掲載される。 カリブ海地域の文学の影響というテーマから派生した問題意識のもと、ウィリアム・フォークナーとガルシア=マルケスの作品の比較考察を行った研究発表は、"Carnivores and Cannibals: Human Animality in Faulkner's The Hamlet and Garcia Marquez's Cien anos de soledad"というタイトルで、2020年10月にサウスイースタンミズーリ大学出版局より出版予定の論文集Faulkner & Garcia Marquez(Christopher Riegar and Andrew B. Leiter, ed.)に掲載される(Garciaのi, Marquezのaはそれぞれアクセント記号、anosのnはティルデがつく)。本稿は肉食という見地からフォークナーの『村』とガルシア=マルケスの『百年の孤独』の比較考察を行い、人間と動物の境界をめぐる両作品の類似点と差異について論じた。
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