研究課題/領域番号 |
17K13407
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研究機関 | 沼津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高瀬 祐子 沼津工業高等専門学校, 教養科, 助教 (30708433)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エドガー・アラン・ポー / 黄金虫 / 島 / ゾンビ / 境界 |
研究実績の概要 |
平成31年度/令和元年度は主に以下の点について分析を行った。 エドガー・アラン・ポーの「黄金虫」における境界の崩壊について、登場人物ルグランのヴァンパイアあるいはゾンビ化について検討した。ポーには「ライジーア」「モレラ」「ベレニス」等、美女再生譚と括られる一連の短編群があるが、「黄金虫」におけるルグランの変貌もこのような再生譚の1つとして考えられるのではないかと仮定した。ルグランは作中において、黄金虫に噛まれるが、これにより、彼の態度や言動が大きく変化し、体調は悪化する。また、ルグランに仕える自由黒人のジュピターとルグランの役割が入れ替わったかのような言動が見られる。 調査の結果、「黄金虫」執筆当時に現代におけるゾンビのような概念は存在していなかったが、ゾンビという名は 黒人の召使いに使用されており、ジュピターの姿にゾンビが投影されていた可能性はありえる。また、何かに噛まれることによってtransformするというヴァンパイア的なアイデアが本作に反映されていた可能性も高い。これらの可能性については継続して検証する必要性があるが、一方で雇い主と召使い、白人と奴隷というtransformが本作において描かれているとすれば、その場所性が重要となる。本作の舞台となるサリヴァン島は、アフリカから黒人が奴隷船によって運ばれ、文字通り奴隷という財産へとtransformした場所である。本研究については、タイトル"Legrand as a Zombie or a Vampire: Reinterpreting "The Gold-Bug" as one of Poe's Revenant Stories"として Pacific Ancient Modern Language Association 117th Annual Conference-San Diegoで口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度/令和元年度は予定通り「黄金虫」の研究を進めることができ、学会発表も行った。本研究課題の最終年度に当たる予定であり、3月のアメリカへの調査を経て論文を執筆する予定でいたが、コロナウイルスの感染拡大のため調査を延期した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度延期したアメリカでの調査を実施し、論文を執筆する予定である。今年度もアメリカへ渡航できない可能性が高いため、その場合は国内で可能な調査を進め、論文を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの感染拡大を受け、出張の計画を中止したため。今年度アメリカへの渡航が可能であれば、再び出張計画を立てるが、難しい場合は国内での調査等に使用する。
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