研究課題/領域番号 |
17K13407
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 沼津工業高等専門学校 (2019-2020) 静岡大学 (2017-2018) |
研究代表者 |
高瀬 祐子 沼津工業高等専門学校, 教養科, 助教 (30708433)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 19世紀アメリカ文学 / エドガー・アラン・ポー / 土地所有権 / ナショナリズム / グローバリズム |
研究成果の概要 |
本研究は、グローバリズムとナショナリズムがせめぎ合う21世紀的な視点から、エドガー・アラン・ポーの作品における土地所有権や国家的な欲望の分析を行った。その結果、ポーの作品において、同時代的な領土拡張主義を背景に、財産や所有権の曖昧さ、不確定さを浮き彫りにするような描写が多数見られることがわかった。さらに「黄金虫」など、地下に埋められたものに関するポー作品の想像力は、アメリカの国家的な欲望の矛先が地中や地下へと向かうことを予見している。 また、ポーが生きた19世紀において、奴隷反乱に代表される内側から染み出す恐怖は、21世紀におけるテロの恐怖と、その構造において酷似していることがわかった。
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自由記述の分野 |
アメリカ文学・アメリカ文化
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アメリカにおける土地所有権の曖昧性は、ネイティブ・アメリカンの排除をはじめとする史実からも明らかであり、国家的な問題を孕む。しかし、本研究でポーが作品において描いた所有権の曖昧性はアメリカに限ったことではないことがわかった。特に島は、そこに住みつき、長く暮らした者が所有権を得ることとなる。ポーがこのような所有権の発生する過程を描いたことは意義深い。また、ポーにとって、土地は地表だけでなく、地中・地下まで含まれると考えられる。19世紀における土地への欲望の矛先が、地下や地中を含むのであれば、これまでの領土拡張主義やマニフェスト・デスティニーを背景とする文学的研究を再検討する必要すら生まれる。
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