研究課題/領域番号 |
17K13410
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山根 亮一 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (90770032)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | プリントカルチャー / ウィリアム・フォークナー / ウィリアム・ギルモア・シムズ / エドガー・アラン・ポー |
研究実績の概要 |
平成30年度、私は「アメリカ南部例外主義とニューディール政策下における元奴隷のナラティブ」という課題名のもと、以下の研究を行った。 2018年5月出版の『フォークナー』誌において書評を発表した。これは、Faulkner and Print Culture: Faulkner and Yoknapatawpha, 2015(2017年)は、アメリカ南部例外主義による影響によって危機に瀕した南部(文学)研究を背景としたときに最も光彩を話すという趣旨の書評である。 京都で開催された国際学会、International Poe & Hawthorne Conferenceでは、6月22日に“Network Authors of the American South: Edgar Allan Poe and William Gilmore Simms”というタイトルで研究発表を行った。上述のプリントカルチャー論を19世紀南部文学において発展された論考である。 8月31日のテクスト研究学会第18回大会では、「アメリカ南部のオルタナティヴ ―シムズ,ポー,フォークナーのデジタル・アーカイヴ―」という題で研究発表を行った。19世紀から20世紀における南部作家をめぐるデジタル・ヒューマニティの現在を論じたものである。 そして、3月15日発行のFLC言語文化論集『ポリフォニア』第3号において、"Echoes of Silence: Old Bayard's Disability in Sartoris/Flags in the Dust"という査読付き論文を発表した。ウィリアム・フォークナーの初期作品と身体障がい理論との接続である。 30年度の研究は、南部例外主義をプリントカルチャー論として論じた。この新しい視覚は、ニューディール期の議論にとっても重要になるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると述べたのは、プリントカルチャー論という新しい視角を獲得し、それをもって国際学会での発表に成功したからだ。 一方、おおむね、と述べざるを得なかった理由は、元奴隷のナラティブに関するフレームワークについては確立できたが(プリントカルチャー論の一端として)、その議論についてはまだ発表できてきないからだ。 最終年度では、その部分を学術論文として発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、アメリカ南部例外主義をプリントカルチャーという視座から論じることである。 その手始めとして、5月の日本英文学会全国大会におけるシンポジウムに登壇し、いかなる文化的構造においてヒルビリーという南部山岳住民像が形成されていったかを明らかにする。 次に10月の日本アメリカ文学会では、戦後日本のアメリカ文学研究者が南部をどのように扱っていたかを検証する。 3月には、前述の通りニューディール期の元奴隷のナラティブに関する論文を発表する予定である。
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