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2022 年度 実施状況報告書

ヨハン・ザロモ・ゼムラー―ドイツ初期啓蒙主義時代における旧約聖書解釈の問題圏―

研究課題

研究課題/領域番号 17K13424
研究機関高知大学

研究代表者

土屋 京子  高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (60759348)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2024-03-31
キーワード神学 / ドイツ語圏文学 / 啓蒙主義 / 自由主義進学 / ロマン主義
研究実績の概要

「研究の学術的背景」で述べた通り、本申請研究テーマであるヨハン・ザモロ・ゼムラー(1725-1791)を中心に据えた研究は、これまでMLUおよびそれに属する研究機関で、神学史上に位置づけられ研究されてきた。しかし彼の思想と18世紀中葉ドイツ語圏の詩学を中心とした諸学との相関については、ほとんど言及されていない。そもそも日本国内で同テーマに関する研究はほとんどない。本申請研究の成果を社会にフィードバックするため、研究発表や学会報告を通じた研究内容のブラッシュアップをおこなうと同時に、国内外の学会誌への投稿を行うのは意義のあることである。
以上のような問題意識と研究動機に基づき、今年度は、国内の学会、日本アイヒェンドルフ協会でオンラインに拠る口頭発表を行った。本会での質疑応答により、イギリス・フランス・ドイツにおいて18世紀後半の聖書研究の転換ならびに散文への翻訳が、19世紀以降西欧文学の創作に及ぼした影響が大きいものであることを、改めて場の全体で共通認識としたものの、各国における学術的態度の違いに関しては、意見がわかれた。またイギリスに比してドイツ語圏においては、19世紀初頭の大学機関の根本的な改革に伴い、人文科学から神学が分離することで聖書批評学の発展が著しくなり、それによってむしろ厳格に規定された神学上の概念が、聖書学を即物的な方向へと進ませたという本論者の見解に関しても、いくつかの質問が提出された。そのうえで、改めて啓蒙期からロマン主義時代の間の時代に、聖書学と文学の緊張関係が生み出され、ロマン主義文学における原罪、男女間の性愛が中心テーマになるという流れに着目することの重要性や現代的アクチュアリティを再確認することができた。同内容に関して、同学会の機関紙である『あうろ~ら』に論文を投稿している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題の期間中に2度にわたって、産前産後休業ならびに育児休業を取得し、同時にコロナ禍において研究活動を制限せざるを得なかったために、当初の計画よりも(とりわけ在外資料収集などの点で)大きく遅れている。

今後の研究の推進方策

研究期間の延長を申し出たことにより、2023年度は文献情報を国内外で集め、文献目録を作成したうえで、文献の収集ならびに精読を行う。またこれまでの研究成果を形にするために、国内の研究会や学会などで個別口頭発表ならびにシンポジウムを企画し、開催する。そこでの各研究者たちとの議論を踏まえたうえで考察を深める。

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染症対策等の理由により、対面での学会の出席がなくなった。また当初計画していた在外資料調査等の海外における研究調査の活動に制限が生じた。そのために旅費をほとんど使用しなかった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 18世紀後半ドイツにおける「原罪」教義の世俗化と創作メルヒェンの世界について2022

    • 著者名/発表者名
      土屋京子
    • 学会等名
      日本アイヒェンドルフ協会

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公開日: 2023-12-25  

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