研究課題/領域番号 |
17K13427
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
三田 順 北里大学, 一般教育部, 講師 (20723670)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ベルギー / 幻想文学 / 象徴主義 / オランダ語文学 / フランス語文学 |
研究実績の概要 |
初年度の今年度は、ベルギーのフランス語圏における象徴主義と幻想文学の連関を探るにあたって、文献収集を始めとする基礎的調査を主に行う予定であったが、一定の成果も形にすることができた。九月には「風景」という観点からフランス語圏の象徴主義を再考するシンポジウムに招かれ、ベルギーの事例について文学と絵画の比較芸術学的観点から研究発表を行ったが、ここではフランスの象徴主義を巡る他の研究者の報告や議論を通じて今後の研究を進める上で有益な示唆を多く得ることができた。 短期の研究出張を活用し、オランダ語圏、フランス語圏における幻想文学関連資料についてベルギーの国立図書館、大学図書館で一次資料の収集を行い、これまでに取り組んできたベルギーにおける象徴主義研究の成果に、本研究課題である、象徴主義後の幻想文学の展開についての考察を加えた形で、現時点までの成果を単著『想像された「北方」──象徴主義におけるベルギーの地詩学を巡って──』としてまとめることができた。 他方、20世紀中盤のオランダ語幻想文学の考察に先立ち、これまで20世紀初頭にわずかに展開されたと考えられてきたオランダ語圏における象徴主義の受容を再考するため、1893年に創刊された文芸誌『Van Nu en Straks』誌の初期における言説分析に取り組み、19世紀末におけるフランス語圏の象徴主義運動からの影響を調査した。この成果については次年度の前半に学会で報告を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた文献収集、一次資料の調査をおおむね行うことができた。シンポジウムでの研究発表のほか、これまでの成果を単著の形で発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はまず、ベルギーのオランダ語圏における象徴主義受容についての研究成果を国際学会で発表し、論文の形でまとめる。フランス語圏については20世紀初頭から中盤における幻想文学論を比較検討し、オランダ語圏との影響関係を調査して行く。
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