デーブリーンの亡命期(1933-1946)に重点を置き、長編小説『アマゾン』と『1918年11月』を主たる研究対象にして、彼の自然哲学の展開を考察した。彼が自然哲学の着想を得たきっかけは、伝統的ユダヤ人の敬虔さを見聞したことにあり、彼の自然哲学は宗教に深く結びつく。亡命期に彼は無神論の立場からユダヤ教に近づき、カトリックの洗礼を受けたが、そうした伝記的事実は作品に直接反映してはいない。彼の自然哲学は『アマゾナン』で近代の宇宙像を、『1918年11月』で中世の神秘主義と20世紀の生活改善運動の世界像を組み込んで発展したと判明した。
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