中国の文学史上において、蘇軾は日本を含め東アジア全体に大きな影響を与えた詩人である。彼の晩年の代表作が、東晋の陶淵明の詩文124篇に和韻した「和陶詩」であり、それを継承したのが、彼の弟蘇轍や彼の門弟である蘇門四学士であり、以後、脈々と受け継がれた。「和陶詩」は、日本にも大きな影響を与え、江戸時代には出版され、僧や儒学者などが「和陶詩」を詠んでいる。しかし、こうした蘇軾「和陶詩」の継承について、系統的に分析した先行研究はあまり見られなかった。そこで、本研究は、蘇軾以前から蘇軾歿後の時代と、更に日本の継承を辿り、蘇軾「和陶詩」の各時代・各地域の受容と発展を考察するものである。
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