形容詞が名詞として機能しているような事例を、生成文法理論に基づいて分析した。人間を表す表現(例: the poorなど)の古英語の事例を分析する中で、類似構文である形容詞の後ろの名詞の省略(rice wif and earm 'rich woman and poor')が形容詞の対立(rich - poor)を条件としていることがわかった。通説では、このような省略は、形容詞が屈折する言語で可能とされているが、形容詞の対立を条件とすると、現代英語でも理論上可能と予測され、その通り観察されることを示した。また、従来、名詞の省略と考えられた古英語の事例の中には、そうでないものがあることが分かった。
|