研究課題/領域番号 |
17K13448
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
川原 繁人 慶應義塾大学, 言語文化研究所(三田), 准教授 (80718792)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 音象徴 / 音声学 / 濁音 |
研究実績の概要 |
これまでの研究の成果をまとめ、また教科書としても使えるように『「あ」は「い」より大きい!?:音象徴で学ぶ音声学入門』を2017年11月にひつじ書房から出版した。この本は、これまでの研究で議論されてきた主な音象徴効果を取り上げながら、その音象徴効果の音声的な基盤を議論することで、音声学への入門書としても使えるようになっている。また音象徴の研究の歴史的展望や、音象徴をより一般的なcross-modal perceptionの一例として位置づけ、音象徴が認知科学一般で扱われるべき現象であることを論じた。本書ではすでに様々なポジティブな書評が出ている。
また、ポケモンの名付けにおける研究も積極的に進め、その成果はPhoneticaやJournal of Japanese Linguisticsなどの国際雑誌で出版予定である。またさらなる実験を大人・子供ともに行い、それらの結果も学術雑誌に投稿済みである。これらの論文執筆作業に加え、2018年の5月には世界中の研究者5名を集め、ポケモンの名前における音象徴効果に関しての国際学会を開催予定である。これらの研究者とは共同で論文執筆作業を進めている。この国際学会によって、日本と世界との共同研究がさらに進むことが期待される。
さらに授業に本研究を積極的に取り入れることで、学生からも色々な発見があった。例えば、宝塚の名前の分析やAKBアイドルの名前の分析などが行われ、これらは学生と共著で国際学会で発表予定である。ポケモンの分析に関しても、学部生が新たな分析材料を見つけ、現在共同実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
書籍を1冊出版し、国際雑誌(Phonetica, Journal of Japanese Linguistics)に論文を2本出版することが決まっている。これらに加え2本、新しい実験をもとに論文を投稿済みである。上記の国際学会の準備も順調であり、研究成果は確実に出ていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を授業で積極的に紹介することにより興味を引き、数人の学生が自分のプロジェクトに取り組んでいる。一部のプロジェクトは国際学会での発表の準備を進めている。2018年度は、投稿中の論文の仕上げや国際学会を中心にさらなる音象徴の研究を進める。また、8月には会津大学で開催される国際学会の基調講演としてTeaching Phonetics through Sound Symbolismという講演を行う予定である。
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