研究課題/領域番号 |
17K13450
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
芝垣 亮介 南山大学, 外国語学部, 准教授 (70631860)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 言語学 / 意味論 |
研究実績の概要 |
報告者は平成29年度の実績として2点の論文を公刊した。
1点目は、"Grammatical Expression of Tense and its Interpretation in Secondary Predication"(単著)である。これはStudies in Philosophy of Language and Linguisticsというシリーズの一巻である『Understanding Predication』の1つの章である。2点目は"Between Language Education and Linguistic Theory; Suffixes and their Semantic Distribution"(単著)である。これは『言語文化学会論集』第48号より公刊した。
1点目では、モンゴル語を中心とした複数の言語における2次述語の理論をベースに、その比較を行う類型論的分析を行った。2点目では2次述語の分析で得られた理論を用い、日本語の助詞や英語の前置詞を分析し、その第二言語習得への応用について議論した。口頭発表こそできなかったが、概ね順調に研究が進んだと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況をデータ収集、理論分析の2点から述べる。データ収集については平成29年度上半期に集中的に行う予定であった。しかしインフォーマントの個人的な都合もあり当初予定していたようにはセッションを組めず、特に中国語のデータの収集に遅れが出た。報告者がターゲットとしているその他の言語(朝鮮語、モンゴル語)のデータについては概ね予定通り収集できた。
理論分析は、平成29年度下半期に行う予定であった。これは報告者が平成29年9月より一年間、アメリカ合衆国のマサチューセッツ工科大学(MIT)に訪れるからである。MITでの研究は予想以上に進んだ。同大学の教授である宮川茂氏(統語論)、およびダニー・フォックス氏(意味論)と定期的にミーティングをし助言をいただいてきた。また、ハーバード大学の教授でJim Huang氏、および同大学に客員研究員として来ている東北大学の小泉政利教授との共同研究も行っており、研究は順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、上半期は引き続きMIT、ハーバード大学の研究者と共同研究を進める形で研究を行う予定である。中国語の研究については平成30年4月にSyntax Square(場所:MIT)にて口頭発表を行う。その後もハーバード大学のJim Huang教授と共同研究(報告者が筆頭著者)をという形で進める予定である。
日本語の分析については東北大学の小泉政利教授、MITのダニー・フォックス教授と共同研究(報告者が筆頭著者)という形で進める。この研究は当初の研究計画で予定した内容から派生するものである。当初は日本語の2次述語および助詞について研究をする予定であった。この研究自体は上記の通り、平成29年度に論文という形で成果を残した。ここから派生する形で、疑問の助詞「の」と「か」についての研究を行おうと考えている。この研究についてはMiyagawa(2001)やYoshida(2012)などが著名であるが、それらで述べられている言語事実の捉え直しから始まり、新たな理論の構築を考えている。
平成30年度下半期は、前半にボストンで集めた情報をもとに、論文にまとめ、投稿する期間にあてる予定である。折を見て、平成29年度上半期に集めきれなかった中国語のデータの収集のため中国に出張に行きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
報告者は平成29年9月より米国MITに客員研究員として在籍しているのだが、当初購入を予定していた文献が入荷に時間がかかることがわかり、9月以降に到着することになったので購入をキャンセルした。これにより39959円が次年度に繰越となった。
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