研究課題/領域番号 |
17K13450
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
芝垣 亮介 立教大学, 外国語教育研究センター設置準備室, 准教授 (70631860)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 語彙意味論 |
研究実績の概要 |
報告者は2019年度に主に2つの研究を行った。一つは2次述語の語彙意味論・統語論における研究である。当該年度では、2018年度に報告者が1年間訪れていたMITおよびハーバード大学での研究成果をまとめるべく、新たな視点からの分析を取り入れた。具体的には、ハーバード大学のJim Huang教授と数回のミーティングを重ね、中国語の2次述語の語彙自体に内在する性質からその統語的制約に結びつけるという分析を行った。これにより、過去に説明がつかないとされていたデータを理論的に解明できるようになった。この結果は、その最終版の前の段階のものを『統語構造と語彙の多角的研究』(開拓社)に単著論文として収めた。もう一つの研究として、報告者は日本語の疑問の助詞の分析を行った。日本語の助詞には「の」と「か」があると言われているが、これらの理論分析を、統語論、意味論、語用論の全ての観点から行った。これは東北大学の小泉政利教授との共同研究である。この研究の成果は、東北大学言語学研究会、およびKLPにて口頭発表として行った。疑問分は全ての言語に存在する自然言語の最も基本的な形式の一つであり、人間の言語の本質を知るという点において非常に意義の高い研究といえる。この研究も報告者がMIT在籍時に始めた研究であり、研究実施計画の通り、2年目のMITでの研究活動をまとめさらに推し進めるものである。2回にわたる口頭発表では貴重な意見をたくさん得ることができ、これをもとに2020年度には論文としてまとめたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度の研究計画として2月から3月にかけて海外に言語および資料の調査に海外に行く予定であったが、コロナウィルスの影響で実現できなかった。これにより、当初予定していた共同研究ができず、予定よりやや遅れていると言わざるを得ない。
この点を除けば、報告者は2018年度にMITに在籍していたのだが、その時の研究成果や収集データをまとめ、さらに推し進める形で研究ができ、順調に進められたと感じている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は報告者の本科研費による最終年度である。これまでの研究成果をまとめるとともに、理論的にもデータとしても見つかった課題を解決すべく、さらなるデータ収集、研究打ち合わせを行いたいと考えている。
具体的な推進方法であるが、報告者は、中国語の言語研究が本研究の柱の一つである。現在、コロナウィルスの影響で海外渡航、そして中国への渡航は大変難しい状況となっている。このような状況中でできることとして、今年度後半に県外への移動が社会的に容認されたおりには、東北大学にて博士の中国人学生約20名を対象に言語データの収集を行いたいと考えている。
同時に、これもコロナウィルスの状況次第ではあるが、マルセル・デン・ディッケン教授と岸本秀樹教授の2次述語の共同研究に参加することが決まっており、こちらで10月以降に口頭発表そして論文という流れでこれまでの研究成果を発表したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響により、当初予定してた3月の海外渡航がキャンセルになり上記金額が発生した。
次年度は当初の予定に加えパソコンを一台購入する必要があり、当該金額はその代金にあてたいと考えている。
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