本科研は第一義的に、言語が接触した際に如何なる原理が働いて変容が起こるのかという点に対して実証的考察を試みたものである。先行研究では十分に扱われていない側面であり、その成果は今後の接触言語学の進展に寄与し得る。また本科研が扱う中国青海省西寧市大通県東峡鎮の漢語方言はこれまで体系的に調査されたことがなく、そのデータ収集自体にも大きい学術的意義がある。 これらと並行して進めた、接触相手ごとの漢語の変容類型を構築する作業には、従来形成史が不詳であった漢語変種の形成過程解明に役立つという意義と、史料に乏しい西北地域の歴史(特に民族交流史)を言語学の立場から填補できるという意義が認められる。
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