本研究においては、研究代表者がそれまでに作成してきた仮名字体データベースおよびコーパスの拡充と連携を図るべく、種々の資料の蒐集と検討とに多くが費やされた。この成果をふまえて、あらためて仮名字体データベースおよびコーパスの拡充を実施し、もって近世から明治期にかけての平仮名字体史研究の質的・量的な改善を図り、また、さらには国際的な文字コードであるUnicodeにおける変体仮名の改善などにも繋げたい。 本研究において、検討された資料としては、明治期の国語教科書(読本)における異体字の掲出状況、国文学研究資料館と人文学オープンデータ共同研究センター(情報・システム研究機構)で提供している日本古典籍字形データセットの字体使用、かなのくわいにおける仮名字体改革の実態、19世紀欧米日本学、具体的にはレオン・ド・ロニーの製作させた変体仮名をふくむ日本語活字における平仮名字体認識の実相などである。これらの成果は、仮名字体データベースの改善に直接繋がるもの、あるいは、仮名字体データベースとコーパスとの具体的な連携にむけて、考慮すべきものである。 延長年度の本年は、新型コロナウイルス感染症による影響の拡大にともない、調査や学会等での成果公表などに支障が生じたため、紙媒体において、これまでの成果の集約と公開とを行うことに意を注いだ。その結果、以下に報告する単行書1点、論文集寄稿1点、雑誌論文1点の成果を得られた。
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