研究課題/領域番号 |
17K13472
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
菅野 悟 東京理科大学, 理学部第二部教養, 准教授 (80583476)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 英語学 抜き出し / 統語論 / 生成文法 / 極小主義 / ラベル理論 / 主語 / 抜き出し / 動名詞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、主語位置に存在する動名詞節を中心扱い、主語内部からの抜き出しに理論的説明を与えることを目的とする。従来まで主語の位置に存在する名詞句内部からは抜き出しができないと考えられてきた。しかし、インフォーマント調査によりいくつかの環境、特に動名詞節が主語に生起する環境において、主語内部からの抜き出しが可能であることが分かった。 本研究では、より具体的な環境を精査するとともに、従来不可能と言われてきた現象が可能である理由を理論的に論じることである。 当該年度は本研究の2年目にあたり、中間報告として日本英語学会第36回大会(於:横浜国立大学)において「主語内部からの抜き出しとラベル理論」というタイトルで発表された(2018年11月25日)。この発表では主語から抜き出しが可能となる具体的なデータが提示され、また、その現象に対し生成文法の最新の理論であるラベル理論に基づき説明がなされた。 さらに、ここまでの研究成果として2本の論文を提出することができた。まず、“Agreement Phenomena and the C-I Interface”(Explorations in English Linguistics 32, 1-39)であり、本論文では、抜き出し現象と密接にかかわる一致現象が論じられており、一致現象とその現象に伴う名詞句の意味の違いが論じられている。次に、“Some Consequences of the Levels of Adequacy”(Studies in English Linguistics and Literature 28, 159-172)では、現在の極小主義理論においてラベルという概念が重要である理由が論じられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定した研究計画におおむね沿って研究が進んでいる。特に、これまでの研究をまとめたものを学会発表へ投稿しており、また、論文の学術雑誌への投稿も済ませている。いずれにおいても、現在、審査中の段階であるが、当初の予定通り、いくつかの学会での発表や雑誌への論文掲載期待される。この結果、研究成果として報告ができることが予測される。 以上、当初の計画通り研究を進めており、また、発表、論文執筆の両方で成果報告ができることが予測されるため、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究の最終年度なるため、今まで収集したデータをまとめるとともに、学会発表、論文の執筆に重点を置き、成果報告とする。 その際、特に理論と実証のバランスを重視することを目標とする。現在の極小主義理論において抽象性が高まっているが、言語研究においては経験的言語事実が重要である。この点を念頭に置き成果報告を行うことを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究において、図書費が想定していた金額を下回ったため。また、次年度が最終年度であり、成果報告のために学会発表や論文執筆のための経費として使用するため。
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