研究課題
本研究は、生成統語論がこれまでに築き上げてきた形式的な基盤を下地として据え、統語構造に関する諸原理が実際の言語使用においてどのように機能するのかについて調査し、より一般的な言語理論の構築を試みるものである。2019年度は、前年度から継続している認知心理学との異分野融合による共同プロジェクトを中心に、①日英語修辞疑問文の質的・量的研究、②意外性に関わる言語形式の質的・量的研究について、データの収集・整理・分析を試み、学会発表や論文掲載という形で成果を示してきた。①について、日本語修辞疑問文の研究においては、当該形式の意味機能や音声にまつわる諸特徴を記述・説明するだけではなく、言語情報が視線や表情などの非言語情報とどう作用し合うのかについても検討を進めてきた。②に関しても、意外性という概念には驚き感情が関与しているため、認知心理学における感情研究の知見も踏まえた分析を行ってきた。このように、言語学における文法部門間のインターフェースという観点に加えて、言語情報(形式・意味機能・音声)と非言語情報(視線・表情)のインターフェースに焦点を当てた研究にも着手している。上記のように、一般的な言語理論を構築することが本研究の目的であるが、この意味で、当初計画よりもさらに一般的なレベルから検証された形での理論構築が試みられていることになる。
2: おおむね順調に進展している
異分野との共同プロジェクトが始まって以来、当初計画にはない方向へと研究が発展してきている。そのため、おおむね順調に研究が進展していると言える。
個人研究に加えて、認知心理学との異分野融合による共同プロジェクトを引き続き発展させていく。その過程で、前年度未発表のものや論文になっていないものについて随時公開していきたい。
研究機関の異動があったため、新規担当科目の教材準備にエフォートを大きく割く必要があり、その分研究エフォート率が低くなった。また、着任1年目で研究環境を整える時間も必要であったため、科研費研究課題の遂行にも少なからず影響が出た。そのため、本研究の最終年度は2019年度までであったが、2020年度への継続申請を行った。これらの理由により、次年度使用額が生じた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
電子情報通信学会技術研究報告
巻: 119(38) ページ: 81-86
日本英文学会東北支部第73回大会Proceedings
巻: 巻号無 ページ: ウェブ上での公開のため頁数無
英語語法文法研究
巻: 26 ページ: 92-108