生成文法の主たる目標は、人間の子どもがどのように母語を獲得するのかを生得仮説に基づき解明することである。子どもが一様に短期間で母語を獲得することを考えると、生まれつき脳内に言語獲得装置が備わっており、それがまわりで話されている言葉に刺激されて、臨界期までに個別文法へと変遷すると考えられている。カートグラフィー研究はこれまで節の周縁部の精緻な句構造を明らかにしてきたが、子どもが母語獲得の過程でそのように複雑な句構造の定型を学ぶとは考え難い。本研究では、節の周縁部で起こる主文現象を考察しながら、句構造の定型がより普遍的な局所性の原理に還元可能か否かを、主文現象や補文のタイプごとに検証した。
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