研究課題/領域番号 |
17K13482
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
関崎 博紀 筑波大学, 人文社会系, 助教 (30512850)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 気づき / 自然会話 / 教材 / 日本語教育 / ビデオ / 文字化資料 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語教育の現場で、日本語による「自然な」会話を教材として利用する際の、学習者の日本語力に応じた適切な提示方法を解明することである。特に、習得の初期段階で発生する「気づき」に焦点を当て、提示方法とレベルによる気づきの内容の異同を明らかにする。平成29年度は、a)研究環境の整備、b)データ収集、c)分析、d)研究成果発表を行った。まず、a)研究環境として、実験に利用する文字化資料、提示用の動画、インタビュー項目とスクリプトを整備した。そして、所属組織において研究倫理審査を受けた。次に、b)データ収集を行った。日本滞在経験の少ない学習者に協力を仰ぐため、10月来日の学習者を対象とした。来日直後の参加は負担が大きいことに配慮し11月以降、協力者を募集した。結果的に、ゼロ初級、中級、上級各2名、計6名から協力を得た。そして、c)データ分析の結果、日本語をほとんど解さないゼロ初級の学習者であっても、ビデオの特定の箇所に注意を向けさせれば、自然な会話の特徴に気づくこと、文字化資料は、ゼロ初級の学習者にはほとんど気づきを与えない一方で、中上級の学習者には聞き取った内容の確認資料として気づきを与えること、何の指示もせずにビデオを視聴させると、レベルを問わず、話題の理解を志向することなどが明らかになった。この結果について、第50回日本語教育方法研究会(2018年3月、於:名古屋大学)にてd)研究成果発表を行った。その内容は高い評価を受け、第11回日本語教育方法研究会優秀賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データは24件収集予定である。H29年度には、このうちの25%にあたる6件の収集にとどまった。この点では、研究がやや遅れている。一方で、限られたデータながら、分析の結果として明らかになった事柄は、研究会において高く評価され、受賞対象となった。この点から、研究やデータ分析の方向性について研究開始時点と比べて強い確信を持つことができ、当初の計画以上の進展が認められる。よって、総合的に2)の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に研究成果としてとりまとめるためのデータ収集に、まずは注力する。具体的には、個別の声かけ、知人紹介、チラシの配布など、H29年度とは異なる方式も追加して、データを収集する。また、とりまとめたデータは学会等で成果発表し、論文としてもまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集の遅れにより、整備に係る人件費を当初予定ほど使用しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度のデータ収集と分析にかかる人件費として支出する予定である。
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