研究課題/領域番号 |
17K13484
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
朴 秀娟 神戸大学, 国際教育総合センター, 講師 (10724982)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 副詞 / 日本語学習者 / 話しことば / 話し手の主観に関わる副詞 / 非用 / 教科書分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語教育における副詞の効果的な指導法構築を目指し、その基礎的研究として、副詞指導に見られる問題点、及び日本語学習者が副詞を学習するにあたり抱えている問題点について明らかにすることを目的としている。本年度は、1)日本語能力が中級レベル以上の日本語学習者を対象とした日本語教科書における副詞の扱い、2)日本語学習者による「話し手の主観に関わる副詞」の使用に見られる特徴に関する考察を行った。具体的には以下のとおりである。 まず、1)では、日本語学習者によって産出されやすい副詞及び産出されにくい副詞それぞれが、中級レベル以降の日本語学習者を対象とした日本語教科書においてどのように扱われているのかを調査した。そして、2)では、日本語学習者による「話し手の主観に関わる副詞」の使用に注目しつつ、前年度に行った学会発表の内容の見直しを行った。その結果、次のようなことが明らかになった。①日本語能力を問わず、初級で導入される副詞が多用される傾向にある。②日本語能力が上がるにつれて、中級以降で導入される副詞の使用も見られるようになる。ただし、一部のものに限定される。③程度・量に関わる副詞、時に関わる副詞は産出されやすい。④叙法に関わる副詞は産出されにくい傾向にある。特に、本年度は、「非用」の問題、つまり、「使わない」、または「使えない」ものについても着目し、本研究課題においてこれまで「話し手の主観に関わる副詞」と称して考察を行ってきたものすべてが産出されにくいわけではなく、産出されやすいものとそうでないものがあることを明らかにした。これらの考察結果については、2021年度に論文として公開される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、日本語学習者によって産出されやすい副詞、産出されにくい副詞について、日本語教科書における導入実態及び日本語学習者による産出に見られる特徴という二つの側面から考察を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、本研究課題の目的をより精緻に達成するために、中級レベル以降の日本語学習者を対象とした日本語教科書における副詞の導入実態について全面的な調査を実施する。これまで、中級レベル以降の日本語教科書を対象に行った調査では、日本語学習者によって産出されやすい副詞と産出されにくい副詞を対象に、それらが日本語教科書においてどのように扱われているのかを中心に調査を行ってきた。しかし、中級レベル以降の日本語教科書についても、2018年度に行った初級教科書を対象とした調査と同様の調査を行うことで、本研究課題の目的の一つである、副詞指導に見られる問題点に関する考察をより精緻化できると思われる。また、2021年度の後半は、本研究課題の成果について総括を行い、学会発表や論文投稿を通して、研究成果を発信していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に生じた未使用額は、研究成果の発表及び本研究課題と関連する情報の収集のために参加を予定していた研究会や学会にかかる旅費として計上していたものである。本年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止により、研究会、学会のいずれも中止、またはオンライン開催となったため、その旅費が未使用額として発生することとなった。次年度に繰り越した額は、これまでの研究成果を精査するにあたり必要な資料の購入、及び論文掲載料等の成果発表にかかる費用に用いる。
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