研究課題/領域番号 |
17K13488
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
三代 純平 武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授 (80449347)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 芸術系元留学生 / ライフストーリー研究 / 日本語教育 / ナラティブ / インタビュー |
研究実績の概要 |
本研究は、芸術系の元留学生のライフストーリー調査である。近年、美大や専門学校でアートやデザインを学ぶために留学する学生が急増している。彼らの就職活動や卒業後の就労生活をインタビュー調査を通じて明らかにし、芸術系の留学生のキャリア形成を支える言語教育のあり方を提案することが本研究の目的である。 2017年度に引き続き、2018年度は、日本国内の企業に就職した留学生6名にインタビュー調査を行った。また、2017年度のインタビュー調査と合わせて、考察することで、キャリア形成に関するいくつかの示唆を得ることができた。まず、2015年以前からの留学生に比べ、近年の留学生の就職に関する意識が高いことがあげられる。これは、日本の好景気や海外の情勢を受けて、留学当初より就職を意識した留学生が増加していることに起因している。一方で、それ以前に留学してきたアジアからの留学生は、「自分探し」的な留学やモラトリアム的な留学が目立つ。ただし、そのような学生たちもゆっくりと自分のキャリアを形成し、自分と向き合いながら、最終的に就職している学生もいる。現在の就職支援は、就職までを中心に議論されがちであるが、もう少し長い期間、あるいは広い視点でキャリアを支える教育を考えることの必要性が見えてきた。また、この考察については韓国日語教育学会言語文化教育研究学会(日本)共同開催 2018年度第34回冬季国際学術大会において発表した。 本研究を通じて、日本語教育におけるライフストーリー研究のあり方、その方法論的発展に寄与することも目的の一つである。2018年度は、ライフストーリー研究を含むナラティブ系の研究のあり方について、シンポジウムやパネルセッションで議論する機会に多く恵まれた。外国語教育におけるナラティブ研究と日本語教育におけるライフストーリー研究の共有点や相違点が見えてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度、2018年度と日本国内で就職した元留学生へのインタビューを中心に行ってきた。一方で、帰国し、自国で就職した元留学生への調査は行えていない。予算的時間的問題に加え、帰国後のフォーローが難しくなっていることがあげられる。 また、日本国内のインタビューも当初の計画より回数が少なくなってしまったことが課題である。一方で、少ない事例から見えてきたものもあるので、今後は、同一人物に対するインタビューを縦断的に行うことを中心にしつつ、適宜対象を広げていく。
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今後の研究の推進方策 |
現在、調査を行っている協力者への調査を継続し、縦断的に研究を進めていくことを第一とする。また、今後は、受け入れ側の企業や就職支援を業務とするキャリアセンター等へのヒアリングも進めていく。 また、2018年度は、口頭発表、パネルセッションなどを多く行ってきたので、その成果を元に、論文の形にしていくことを2019年度の課題としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査が行えておらず、2019年度に繰り越している。今年度は、韓国への調査を予定している。また、インタビュー調査を3月に行ったものは、文字起こしを4月に回し、2019年度予算内で行っている。
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