計画最終年度には,評価目的に応じたスコアを出力する自動評価モデルの実験,および調整を行う予定であった.しかしながら,研究期間の後半において,新型ウイルス感染症の感染拡大により,追加のデータ収集が一切行えず,十分な実験データを用意することができなかったため,当初予定していた実装モデルとスコアの調整についての実験を実施することはできなかった.さらに,2022年11月に公開されたOpenAI社のChatGPTによって,生成AIによる自動評価の研究が急速に進み,本来の研究目的である機械学習のための評価指標の構築,ならびに自動評価の評価値の付与についても,その研究的意義が大きく低下することとなった.そのため,当初の研究方針を大きく見直し,生成AI時代に必要な英語運用能力の評価に関する研究へと舵を切ることとなった.その結果,生成AIを活用した英語教育に関する研究を展開し,その成果に基づいて多くの講演を実施することとなり,一定の成果を挙げることができたと言える.また,生成AIによる英語教育では,人間による教育の意義について再検討することが必要であるという結論を得たため,社会性に基づく英語教育という観点から,Neural Couplingという対面,対人教育時に観察される脳波の同期現象に着目した脳科学との国際シンポジウムの開催と発表を行った.当初の目的の延長として,生成AI時代を見据えた英語教育について,知見を重ねることができた点が大きな成果であったと言える.
|