本研究は、日本人英語学習者が英文を黙読する際の音韻処理の利用状況により、異なり得る読解プロセスを探求するものである。具体的に本研究では、語単位の音韻処理に焦点を当て、黙読時における語強勢処理とリズム形成について横断的および縦断的に調査している。前年度末の時点ですべてのデータ収集が終わっているので、本年度は、継続している音声データの分析を進めることと、その結果を踏まえ、研究の取りまとめを行えるよう文献調査を継続して行った。とりわけ注力した内容は、明示的なプロソディ指導が黙読時のプロソディ処理にもたらす有効性について検証した研究成果についてと、英語学習に対する態度や習慣といった日頃の読解行動が英語力発達推移にもたらす影響について検証した研究成果についてであり、どちらも縦断的調査結果に基づくものである。前者においては論文として投稿する段階にある。横断的データとして収集した眼球運動計測データのうち分析が済んでいるものに対しては、発音トレーニング前後に収集した縦断的データとしての音声データとの関係性を調査するために分析を継続して進めていく予定である。残りの分析作業は、別途科学研究費補助金をうけている研究課題に受け継ぐこととした。
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