研究課題/領域番号 |
17K13503
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
藤井 康子 大分大学, 教育学部, 准教授 (10608376)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | CLIL / 図画工作科 / 小学校外国語活動・外国語 / 教科融合型学習 |
研究実績の概要 |
(1)ヨーロッパ・アジア4カ国の教育機関及び小学校の調査:ヨーロッパについては、ドイツ共和国・ノルトラインヴェストファーレン州のデュッセルドルフとバーデン=ヴュルテンベルク州のハイデルベルクを2019年11月30日~12月8日(計9日間)の日程で訪問し、リグニッツ基礎学校、カール・デュイスベルグ・ギムナジウム校、ウィルケンシューレ基礎学校、ハイデルベルク大学、教育行政機関の計5箇所の訪問調査を行い、英語教育と美術教育の現状と今後の動向について調査を行った。(2)教科書・教師用指導書・副教材・関連資料等の収集と分析:ドイツにて現地協力者の協力を得て小学校の英語教科書とCLIL教材を入手し、ドイツにおける学習内容や指導法について比較検討した。日本の小学校図画工作と外国語活動の教科融合型学習開発の参考とした。(3)海外との共同研究:ハイデルベルク大学の教授2名(英語教育、美術教育)と研究会を実施し、英語と母国語を用いて美術教育を学ぶCLIL教育の在り方について協議し合い、今後の共同研究の基盤を構築することが出来た。スペイン・マドリッド自治大学の教授らと始めた「絵巻物プロジェクト」(国際研究)については、大分県内で研究実践を行う予定であったが、実践校と協議の上、次年度に変更した。(4)教材開発と学習モデルの作成:国内研究協力者との研究会を複数回実施し、これまでの教材開発及び実践研究を通して得られた外国語も使って図画工作科を学ぶ教科融合型学習の効果に関する分析を行った。(5)研究成果の公表:第58回大学美術教育学会岐阜大会にて、熊本県で行った実践研究の成果を発表した。美術科教育学会第42回千葉大会にて、福岡県で行った実践研究の成果を発表予定であったが、新型コロナウイルス感染症への対応により学会が不開催となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究3年次の大きな成果は、ドイツの現地調査を行い、現地協力者の協力により2つの州のCLIL教育の現況についての一端を把握することができたこと、ハイデルベルク大学の研究者達との共同研究の基盤を構築することができたことである。本研究において日本国内の研究協力者とともに実践・開発したCLIL教材(初等教育用)の内容に対しては、ドイツ、スペイン、イギリス、台湾で行った現地協力者との研究会において、各国の研究者達から高い評価を得ることが出来た。実践・開発したCLIL教材は、日本の図画工作科と外国語活動の現行使用教科書の内容を参考に日本や世界の美術作品の鑑賞を取り入れた表現学習として構成したものであるが、CLIL教育だけでなく美術と英語を共通言語とした国際理解教育に繋がる教材であることを認識した。また、日本の美術教育の国際化の進展にも繋がる可能性があることが分かった。これによりドイツ、スペイン、イギリス、台湾の大学機関との共同研究の基盤を構成することができた。 しかし、研究成果の社会還元については不十分であり、やや遅れているといえる。次年度は、研究3年次に十分に取り組むことができなかった学会等における研究論文の執筆など研究成果の発信と、収集した教科書や資料の分析・考察等に力を注ぎ、研究成果の社会還元に取り組む。 開発した教材については、新学習指導要領に対応すべく学習目標や評価方法を見直し、海外の教科書や副教材を参考にして内容と指導方法の改善に取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究3年次の課題を踏まえて次の内容に取り組む。(1)ヨーロッパ・アジア4カ国の教育機関及び小学校の調査:スペイン、イギリス、ドイツ、台湾における実地調査で得られた知見を基に、現地のバイリンガル学校や公立学校におけるCLIL教育の現状(学習内容と指導法、教科書とその他の学習教材の運用方法等)と今後の動向について研究代表者の所属する学会等で報告する。(2)教材開発と学習モデルの作成:図画工作科と外国語活動の教科融合型学習の実践研究を通して得られた成果と課題を、国内研究協力者とともに研究代表者の所属する学会等で発表する。研究代表者のホームページや海外研究協力者を含めた研究会等で研究成果を広く公開する。(3)海外との共同研究:スペインのマドリッド自治大学等との共同研究「絵巻物プロジェクト」の研究実践を大分県内の公立中学校等で実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症対策により学会が中止となり未使用額が生じた。 未使用額については、研究代表者の所属学会で研究発表を行うための旅費に充てる。次年度は、2019年1月(台湾)、3月(イギリス、スペイン)、12月に実施した海外調査(ドイツ連邦共和国)及び日本での教材開発の研究データをもとに学会発表や論文投稿等を行い、研究成果の公表をより充実させる。
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