研究課題/領域番号 |
17K13521
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
熊倉 和歌子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (80613570)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 疫病 / 環境史 / 西アジア史 |
研究実績の概要 |
今年度は、申請時にたてた計画に沿って、年代記史料からのデータ収集を行った。具体的には、15世紀に編纂された年代記史料をベースとして、気候変動、ナイルの水位変動、物価変動、飢饉、虫害、農業生産などに関する記録を抽出し、原文に日本語訳を付す形でデータを作成していった。この作業は、最終年度も引き続き行うが、当初想定していたよりも、これらに関する記録は多いことが明らかになってきている。 また、2019年2月には、カイロ(エジプトアラブ共和国)において史料調査を実施した。国立文書館、国立図書館、アラブ連盟写本研究所において、上記データを得るのに適した史料を渉猟した。また、同年3月には、立命館大学で開催された「GIS day in 関西」に出席し、歴史学におけるGIS利用の可能性について学んだ。本研究課題は、中東各地域の気候変動や物価変動に関するデータを取得しているが、それらを効果的に分析するために、GISを利用して視覚化することは有効であるとの見通しを得た。 申請時にたてた計画では、夏にもエジプトにおいて史料調査を行う予定であったが、下記の「現在までの進捗状況」の理由欄に示す理由により、予定を見送ることにした。その代わりに、国内でできる作業を重点的に進めることとなった。このことが理由で、国内外の学会に参加することができなかったため、同様の関心を持つ国内外の研究者とのやりとりは、もっぱらメールベースで行うこととした。他方、2019年6月に早稲田大学で開催されることが予定されている国際マムルーク朝学会には、2018年度に交流を行う予定であった研究者が国内外から集まる予定であるので、2018年度にできなかった意見交換などはこの機会に行うことができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定よりも遅れた理由は、代表者が2018年6月に出産したためである。そのため、海外出張を行うことができなかったことが、計画の遅れにつながった。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、申請時の計画に沿いながら、引き続き、地道にデータ収集を行っていく。申請書には、「研究期間中、史料の読み込みに時間がかかるなどして、予定通りに研究が進まない場合、本研究の核である歴史的データの抽出とまとめを優先する」とあり、この通りに進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
先の進捗状況の箇所でも述べたように、2018年度は、代表者の出産に伴い、夏に予定していた海外出張を行うことができなかった。この出張に代えて、冬に国内出張を行ったが、最終的には海外出張に計上していた予算が残った形となった。
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