本研究課題では、室町幕府・将軍権力の確立期・絶頂期と評価されてきた足利義満期の再検討を目的とし、義満期の武家政治史、特に「遠国」情勢に着目して研究を行った。具体的には、未紹介史料を含む同時代史料の調査・活用を通じて、九州・関東における政治・軍事情勢を復元することにより、足利義満期は、南北朝内乱とは異なるかたちで室町幕府と「遠国」間の亀裂が生じた時期であること、義満期における「遠国」の不安定な状況は,従来注目されてきた足利義持・義教期に連続することを明らかにした。以上の検討により、前述した足利義満期に関する従来の評価を相対化することができたものと考えている。
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