研究課題/領域番号 |
17K13531
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
板垣 貴志 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (80588385)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 有畜農業 / 農業史 / 環境史 / 牛 / 馬 / 畜産史 |
研究実績の概要 |
2018年度は、研究協力者である全国和牛登録協会の協力のもと、基礎的データとなる日本畜産史に関わる歴史資料群の把握と、畜産の近代化に尽力してきた古老の聞き取り調査を継続的に実施した。 具体的には、島根県畜産技術センターを訪問して(2018年5月)、所蔵されていた平井文庫の全体像を把握した。その後、9月に集中概要調査を実施して、大正期から残存していた雑誌『島根県の畜産』を中心にデジタルカメラにて撮影した。また、全国和牛登録協会保管資料は、2018年10月と2019年3月の2回集中調査を実施して、羽部義孝文庫の整理を終了した。その他、貴重書籍類を借用し、島根大学にて撮影調査を6回実施した(2018年6月、7月、8月、2019年2月、3月には2回)。牛飼い古老の聞き取り調査は、2名の方に対して2回実施している(松江市、安来市)。 研究成果の報告では、日本村落研究学会主催の研究会(2018年5月27日、大阪産業大学梅田サテライト)にて、「農業機械がもたらしたものコメント-日本畜産史研究の視点から」と題して報告し、次年度に論考掲載の予定である。また、2019年3月には「第3回 人と動物の関係史研究会」を東京都で開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に確認していた、日本畜産史に関わる未整理歴史資料群を着実に整理調査することができ、大量の新出資料を発見しつつある。とくに、全国和牛登録協会が保管している羽部義孝(初代協会会長)、上坂章次(2代目協会会長)に関する資料群は、日本畜産業の推移を明らかにする基礎的な歴史資料が多く含まれており、本年度は目録化の手法を模索して、方向性を確定した。また、関連資料のデジタル撮影調査は80%程度完了した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は全国和牛登録協会保管資料および島根県畜産技術センター保管平井文庫、前年年度に調査を完了している広島県畜産技術センター保管資料(旧農商務省七塚原種牛牧場資料)を中心にして、網羅的な分析をすすめる予定にしている。とくに全国和牛登録協会保管資料は資料目録の刊行にむけて準備を進めている。 人と動物の関係史研究会等を通して、接点のある領域の研究者との交流も広げつつ、日本畜産の特質を解明して、日本近現代史全体の研究史にそれを具体的に位置づけていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、想定以上に調査回数が多く、謝金や旅費の支出のため予算の前倒し申請をして承認されている。したがって、残額の3,309円は、本来は次年度支出を想定していたものであるため。
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