従来の研究では、中世日本の海外貿易とその背後にある国内の経済基盤の実態を系統的に究明することがなく、海外貿易と国内経済の研究が平行線をたどってきたが、本研究は、海外貿易の国内経済基盤に着目し、海外貿易の背後にある経済環境をより立体的に把握し、実証研究と理論構築に基づいて、これまでに個別に議論が行われてきた海外貿易史研究と中世経済史研究分野の共通の議論に向けて新たな問題提起と理論を提示することも学術的意義といえる。教育現場において、中世日本の歴史を語る際、海外と国内の視点から同時に検討するということに、本研究がつながることが社会的意義として期待される。
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