本研究では、山口県文書館、早稲田大学図書館、国文学研究資料館、弘前市立図書館を訪問し、徳川家斉期における幕府と大名家(=藩)との関係がうかがえる史料を収集した。収集したのは、官位昇進や行列道具の所持など大名家の家格上昇に関わる一件史料である。そして、収集した史料の分析から、次の二つの点を明らかにした。一つは、大名家が月番老中に提出した願書は月番から願書の内容に関わる役人に渡され、役人は願書とその採用・不採用について記した評議書を月番に返したことである。もう一つは、月番は評議書をもとに他の老中と合議し、願い出の採用・不採用を決めていたことである。
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