研究課題/領域番号 |
17K13540
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
前田 英之 梅花女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80756099)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 平家領 / 関東御領 / 平家政権 / 鎌倉幕府 / 荘園制 |
研究実績の概要 |
12世紀中葉~後半にかけて、平家一門によって形成された平家領の多くは、平家の没落後に「平家没官領」として朝廷から源頼朝に給付され、鎌倉幕府が支配する関東御領となった。本研究は、この所領群について、Ⅰ期:平安後期の平家領段階、Ⅱ期:治承・寿永内乱期の平家没官領段階、Ⅲ期:鎌倉前期に関東御領として整備される段階、Ⅳ期:鎌倉中・後期の関東御領、の4段階に区分して分析を加え、その展開過程の段階的特徴について実態的に把握することを目的とする。 今年度は、これまでに集めたデータを整理した上で、関東御領の展開を具体化するための素材となる所領を見極め、関連史料の分析を進めた。史料所蔵機関への出張調査や学会参加は実施できなかったため、主に関連図書の購入に経費を割きつつ作業を行った。 また、本研究では、関東御領の展開について収取構造に注目して具体化する計画であるが、その前提として、鎌倉期の荘園制全体の流れを検証する研究を進めた。その成果については、日本史研究会大会(中世史部会共同研究報告、2020年10月11日)にて報告する機会を得た。本研究と関わる部分を摘記すれば、中世前期に成立した領域型荘園では、立荘以来の複合的荘域構成は原則的に存続し、荘園領主による領域支配は複合的荘域が整序される方向(一円化)ではなく、複合的荘域構成のままに収納業務が一元化される方向で実質化したとの見通しを得た。 以上の見通しは、本研究が本来掲げていた目的を達成するための重要な足がかりとなるものと考えている。次年度は、鎌倉期荘園制の流れの中に関東御領を位置づけて評価するため、その収取構造の推移を具体化し、本研究をまとめていくことにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
史料所蔵機関への出張調査ができていないため。次年度も計画は立っていないが、2019年度までの作業を中心に本研究をまとめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの史料収集・分析結果に基づき、研究をまとめる作業を集中的に進める。 また、本研究での成果を踏まえ、次の研究計画も検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間の延長にともない、必要額を次年度に繰り越した。 主に関連図書の購入にあてる予定である。
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