本研究は、鳥取(伯耆)・島根(出雲)の藩境域において如何なる経済活動・交流があり、また中央市場との関係の中で如何に変容していったのかを明らかにすることを目的とした。本研究では、まず三井越後屋の史料から越後屋の山陰木綿(雲伯木綿)の仕入と上方輸送に関する史料の整理・分析を行い、次に出雲(島根)東部と伯耆(鳥取)西部(以下、「雲伯」)の在地商人史料から主に木綿や鉄の流通に関する史料の調査・収集・整理を行った。これら在地商人の史料と三井越後屋の史料を組み合わせて、鳥取・島根の藩境域における産物の流通や経済活動を検討することができた。また、雲伯木綿の上方輸送の具体像も明らかにすることができた。
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