研究課題/領域番号 |
17K13542
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研究機関 | 神奈川県立金沢文庫 |
研究代表者 |
貫井 裕恵 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 学芸員 (40782868)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本中世史 / 寺院史 / 古文書学 / 聖教 / 寺院史料論 / 寺誌 / アーカイブズ / 歴史叙述 |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究課題が対象とする真言密教聖教の生成と集積の意義について、史料集積の大きな流れと個別的な聖教の検討を中心に考察を加えた。 まず、中世鎌倉における密教の流入と展開に大きな役割を果たした、鎌倉幕府の有力御家人である安達氏について研究を進め、その成果は「特別展 安達一族と鎌倉幕府-もうひとつの鎌倉時代史-」の開催(於神奈川県立金沢文庫、2018年7月~9月)および同図録の刊行に結実させ、広く一般に成果を公開した。追って研究成果を発表する予定である。 「歴史学からみた千字文説草」(仏教文学会12月例会、2018年12月)では、中世寺院に集積された聖教が、教化の過程で説草の形態で流布していくありようを、歴史学の観点からとらえようと試み、中世聖教の裾野の拡がりに言及している。また「特別展 顕われた神々-中世の霊場と唱導」(2018年11月~2019年1月)において、そうした多種多様にわたる聖教史料を形態・内容の両面から体系的にとらえ、広く一般に成果を公開した。 「室町期における東寺と『東宝記』」(国際日本文化研究センター共同研究:応永・永享期文化論研究会、2018年12月)では、本研究課題が主たる対象とする中世東寺における史料集積の流れとその画期性について考察している。 Temple management and missionary activities in the Middle Ages of Japan(International Symposium "Pastoral Care and Monasticism: ca. 800-1650”2019年3月)では、とくに東寺の事例を紹介しながら、日本中世寺院における史料の集積過程に着目し、収蔵場所と信仰のありようについて明らかにしようとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主たる対象である中世東寺について、聖教の集積過程と寺誌の関わりを論究したが、今後得られた課題を克服して、論文として成稿していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度として、得られた課題について取り組み、これまでの成果を公開していきたいと思う。適宜補足調査等を実施する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況および調査先の事情等により、次年度に調査出張する必要が生じたため。次年度執行予定である。
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