研究課題/領域番号 |
17K13544
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館 |
研究代表者 |
斎木 涼子 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 主任研究員 (90530634)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 聖教 / 古代史 / 仏教史 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、平安時代以降代表的な護国修法となった太元帥法について、平安時代から鎌倉時代にかけての史料調査および史料の検討を進め、大きな成果を得た。具体的には、昨年同様に従来の研究で見逃されることが多かった、太元帥法に対する朝廷・貴族社会の評価、すなわち古記録や年中行事書における、貴族社会のこの修法の記載について注目し、平安時代から鎌倉時代の関連史料の網羅的な収集・分析を進めた。 また同時に、太元帥法に関連する聖教について、分析を進めた。宮内庁書陵部所蔵『太元秘記』、および東京大学史料編纂所所蔵『太元帥法秘抄』など、鎌倉時代に成立した聖教を用い、11世紀から12世紀にかけての修法院法琳寺の状況、真言宗における太元帥法の伝授の変遷、朝廷や院などの政権中枢の意向、および社会の需要などを検証した。 以上の史料考察により、太元帥法の寺院内部における伝授、および朝廷・貴族社会における修法の評価について、11世紀から12世紀にかけ、いくつかの転換点があったことが判明した。 以上、本年度に得たこれらの研究成果は、次年度に論文としての発表を予定している。 また、本年度は、研究テーマに関係する寺院聖教の調査を実施した。具体的には、昨年度に聖教目録等の事前確認によりピックアップしていた、未紹介の仁和寺聖教について、所蔵者に閲覧申請を行い、真言院仏事や仁寿殿観音供、護持僧関係の聖教史料の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
寺院聖教の調査を実施することができた。また、前年度、本年度の研究成果を論文として発表する予定がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、聖教調査の準備資料に基づき、次年度以降、所蔵者への閲覧申請手続き等を進め、調査を実施する予定である。 また平行して、すでに入手している史料の解読、分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2月~3月に出張を伴う史料調査を予定していたが、コロナウィルス感染予防の観点から、調査を中止したため、未使用の旅費・物品費が発生した。情勢が落ち着いた後、可能であれば次年度に調査を行う予定である。
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