研究実績の概要 |
本研究「オスマン帝国における文化的選良層の社会生活と美意識の変遷についての社会史研究」について、今年度は研究項目「Ⅰ.文化的選良層の社会身分とその質的変化」における①「文化的選良の社会身分の変容研究」について主に行い、「文化的選良」の社会身分(出身身分、官位、キャリアパターン等)と生活様式(金銭の獲得方法、個人的主従関係等)の実態を把握するため15世紀末から17世紀に編まれた14点の詩人列伝を主史料としつつ、選良たちの出身地、職業等の経歴を抽出する考察を行った。また、これと併せて、タンズィマート期についての同様の分析を行うための海外史料調査を実施し、この際には同研究項目の第二段階である②「文化的選良の人的社会結合と俸給・収入、メディアの変容研究」に関する調査を並行して行った。そのうえで年度末にはこれまでの研究成果を単著『多元性の都市イスタンブル:近世オスマン帝都の都市空間と詩人、庶民、異邦人』(大阪大学出版会)としてまとめ上梓した。また文芸翻訳論に関しても、共著として、藤井光, 沼野充義, 阿部公彦, 管啓次郎, 谷崎由依, 笠間直穂子, 西崎憲, 渋谷哲也, 阿部賢一, 宮下遼, 斎藤真理子, 温又柔, 小林エリカ, 戌井昭人『文芸翻訳入門:言葉を紡ぎ直す人たち、世界を紡ぎ直す言葉たち』フィルムアート, 2017を上梓した。さらにオスマン語古典詩の和訳に関しては、(講演会)宮下遼「外国語の詩を訳すということ:トルコ文学の場合」『大阪大学21世紀懐徳堂シンポジウム 第3回「大阪大学外国語学部がめざす外国学;言葉とともに、箕面とともに」』於箕面市メイプルホール, 2018年3月1日を行った。
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